米最高裁が、懲罰的賠償金の大きさを制限をすべきだという判決を下しました。これはちょっと気になります。日本の法律や判決は、ペナルティーの金額が小さ過ぎて、悪質な行為の牽制が掛かりにくいと思います。即ち、一般に日本の罰金は不当利得を返還させるような発想であり、現状復帰コストを払わせる程度に留まる場合がほとんどです。
そうすると、犯罪の発覚率が100%より当然低い以上、マクロ的に見ると経済犯罪はすればするほど犯罪界全体では得をすることになります。ですから大きな懲罰的賠償金を課すことによって牽制を働かせるべきだと考えていたのですが、そのようなやり方の先進国であるアメリカが、恐らく行き過ぎてしまったのか、その流れにとうとうブレーキを踏みました。今回の米最高裁判決の詳しい内容は知りませんが、日本においてはそのいい所だけをしっかりと研究して、輸入して貰いたいものです。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。