今日は鉄腕アトムの誕生日だそうです。全国各地で記念イベントが催され、好評を博したようですが、どこか虚しさも感じます。
アトムが書かれたのは約50年前。人類の知恵と文明は果たしてどれだけ進歩したのでしょうか。2年前、即ち21世紀最初の年に知人から貰った年賀状に「アトムの空は今日も同じ空だった」というフレーズがあったことは、当時つぶやきにも書きました。先人が夢見た技術の進歩と平和利用は、到底その想像力に達していません。片や戦闘機や兵器の類に至っては、残念なことに先人の想像力を遙かに超えた水準にまで発展したようにも思えます。
しかしもっとも残念なのは、手塚治虫や星新一のような強力な平和的想像力の存在が、かつてに比べて減ってきているのではないかということです。確かに技術の平和利用に関しては夢を超えられずに終わっているかも知れませんが、まず想像がなければどこにも辿り着くことは出来ないでしょう。もっと想像力がいっぱいの世界になったらいいなと、そう思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。