ドルが安い。円に対しても、ユーロに対しても、ここ数日ドルが独歩安となっています。今日は北朝鮮から地対艦ミサイルが発射されたというニュースがあったにも拘らず、日中、ドルは円に対して売られました。戦争の長期化の可能性、そしてそのことによる戦費支出の増大や米経済の停滞、云々。そういった懸念からドルが売られているのでしょうか。いや、一番大きなドル安の理由は、アメリカの指導部に対する信認が揺らいでいるからでしょう。ラムズフェルド長官の軍事計画上の読みが、実戦の中では甘いのではないかという疑念。ブッシュ大統領の国際社会における指導力に対する懐疑。更にはイラク戦争が「ベトナム化」するのではないかという不安。興味深いのは、これら「信頼への揺さぶり」が、最近ブッシュ大統領を初めとした米指導部がマスコミ等への露出を増やしてきたのと時を一としていることです。
昨日も書いたように、私は単に反戦でも、ブッシュ支持でもありません。しかし如何なる指導者であっても、多様なる価値観とのコミュニケーションを怠ると、足元をすくわれかねません。どんな時にも謙虚な姿勢は大切だと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。