国連安保理は果たして機能したのか?そういった議論をよく聞きます。肯定説、否定説、双方あるようですが、私は国連安保理は十分機能したと考えています。今回のことでも明らかなのは、結局最後は主権国家は自らの決断で実力行使を取り得るということです。これはそもそも、日本がかつて国際連盟を脱退したように、各国は国際連合の脱退も可能な訳ですから、ロジカルには議論を待ちません。しかし今回国連安保理があったが故に、アメリカと仏・露などの主張の対比は、秘密裡ではなく、恐らくテレビを見ている、或いは新聞を読んでいる世界中の人全員の目前に繰り広げられました。
その数たるや10億人を下らないでしょう。地球の運命を左右する重要な事項をこれだけ多くの地球人の前に曝した功績は、計り知れないものがあると思います。そのこと自体に、安保理の直接の作用でなくとも、間接に抑止力があるでしょうし、将来に亘って、多くの人に学習の機会と材料も与えるという、付随する効果もあるでしょう。ですから安保理は機能したと思います。しかしそれ以前の教育とか、コミュニケーションとか、それは安保理の機能の範疇外ですが、そういったところの事前の努力が足りなかったかも知れません。安保理の機能云々を語るよりも、そういった面での国連の今後の役割を検討することが重要だと思います。