ヨーロッパとアジアに跨る国トルコは、世界史の中で常に軍事の要衝でした。かつてコンスタンチノープルと呼ばれた、トルコ最大の都市イスタンブールは、まさに東西文明・文化の交わる場所であり、世界中の多くの人の旅情も誘ってきました。
トルコの外務大臣の話を直接聞いたことがありますが、曰く、「隣人(隣国)は選べない」。まさにトルコの人はそういった感覚を歴史を超えて持ち続けてきたことでしょう。そのトルコが、また世界の注目を集めています。米軍駐留を認めるか否か。これはトルコの人々にとって、極めて重要で、シリアスな判断でしょう。経済的な問題、宗教や哲学の問題、そして自らの生命に関わる問題を含んでいます。主権国家であるトルコの判断を尊重する以外に、我々は何も言えない気がします。
ところで報道によるとムーディーズのトルコ担当アナリストが昨日、電話インタビューに答えて、「米国からの金融支援を得るために、トルコ国会は早急に米軍駐留を認めるべきであり、この支援を受けられなくなると、同社はトルコの格付けを引き下げる可能性がある」と発言したそうです。彼女の発言の背景を私は知りません。トルコのことを常日頃思っている上での発言なのか。もっと淡白な、テレビゲーム的発言なのか。何かしらの圧力があるのか。或いは更に他の理由があるのか。いずれにしても、どこか後味の悪さを感じるのは私だけでしょうか。