構造改革は進むのか、ということを考えるたびに、つくづく我が国は変化を厭う社会だなと思います。しかしこのことが民族性なのか、国民の総意なのか、或いはただ単にいくつかのほんの少数の制度などの為に結果としてこうなっているのか、疑問に思われます。
例えば、年功序列は我が国特有の強烈な社会現象ですが、中央省庁において、ある一定の役職まで到達すると(30代でなる課長補佐など)あとは一切年功は関係ないとしたらどうなるでしょうか?自分の同級生が年を経ると共に役所でより重要なポストについていくとか、自分の上司は自分の同期より要職にある官僚と付き合いがあるとか、そういったことが少なからず民間組織の年功序列的な色合いを形成する一助になっているように思われるので、官僚の世界からそれを壊せば、案外簡単に日本中が変わるかも知れません。
アメリカ人も日本人も、個人レベルではそんなに大きな差はないと思います。「民族性」の類の感傷的な論に振れないで、鍵となっている具体的な制度を発見し、適確に変更することがもっとも効果的だと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。