これは先週のニュースですが、関西の大学などを中心とした研究チームが、映画1000〜3000本に相当する映像データを1秒で転送する技術の基礎実験に成功したそうです。これ驚きです。これは驚きなのですが、果たしてどれだけの効用があるでしょう。普通の人だと頑張っても1日4本ぐらいしか映画は見られないでしょう。3000本見るのに約2年間かかります。勿論この技術は、他のいろいろなことにも転用できるのでしょう。しかしこのような供給の容量を増大する技術の経済全体に対する効用は下がってきているように思われます。人間のキャパシティーを既に超えてきているからです。もっと需要を増大するような、感動を増やすとか、そういった技術(かつてのテレビの出現はそれに近いと言えるでしょう)がもっと待ち望まれているのではないでしょうか。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。