枕草子の時代から、秋は夕暮れと決まっています。当社のオフィスからは毎日きれいな夕焼けが見え、日によっては赤富士も見えます。刻一刻と空の色が変わっていき、また紺、青、水色、黄色、橙、赤と、ある一瞬の空も何層にも彩られていて、得も言われぬ美しさがあります。
小学生の頃夕焼け空が好きでよく見ていました。あの頃と比べて夕焼け空の美しさがあまり変わらないのは、空気は案外きれいだということでしょうか。・・・恐らくそうではないでしょう。私が是非一度は行ってみたい所にセイシェルがあります。行けないので本屋さんで写真集を見ると、真っ白の砂浜の上には、海の色と区別が付かないような濃い藍色をした空が広がっています。しかもグラデーションが全くありません。空気がきれいで、塵や埃や汚染物が少ないと、太陽の光は乱反射しないので空は単色に、かつ暗くなっていきます。塵一つない宇宙の真空空間が真っ黒なのと同じ理由です。鮮やかな色彩に富んだ夕焼け空は、空が汚れているから出来るのだと思うと、なんか複雑な気持ちになります。