枕草子の時代から、秋は夕暮れと決まっています。当社のオフィスからは毎日きれいな夕焼けが見え、日によっては赤富士も見えます。刻一刻と空の色が変わっていき、また紺、青、水色、黄色、橙、赤と、ある一瞬の空も何層にも彩られていて、得も言われぬ美しさがあります。
小学生の頃夕焼け空が好きでよく見ていました。あの頃と比べて夕焼け空の美しさがあまり変わらないのは、空気は案外きれいだということでしょうか。・・・恐らくそうではないでしょう。私が是非一度は行ってみたい所にセイシェルがあります。行けないので本屋さんで写真集を見ると、真っ白の砂浜の上には、海の色と区別が付かないような濃い藍色をした空が広がっています。しかもグラデーションが全くありません。空気がきれいで、塵や埃や汚染物が少ないと、太陽の光は乱反射しないので空は単色に、かつ暗くなっていきます。塵一つない宇宙の真空空間が真っ黒なのと同じ理由です。鮮やかな色彩に富んだ夕焼け空は、空が汚れているから出来るのだと思うと、なんか複雑な気持ちになります。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。