年令+10って、なんの数字だと思いますか?これは我が国の国政選挙に於ける年令別の投票率の概算値です。少なくとも70才までは、この値は実際の数字に酷似した数字になっています。「若い連中は国政に参加していない。けしからん。」と言うのは簡単です。しかし問題はもっと大きいのではないでしょうか。先月に平成12年度の国のバランス・シートの試算が財務省から発表されていますが(http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/bstop.htm)、国が年金受給者に約束した年金をきちんと支払うとすると、我が国は現在830兆円の債務超過になっています。これは全て将来、若い世代が何かしらの形によって国に対して払ってくれるという仮定の下に成り立っている訳です。乱暴な言い方をすると、若い人が将来払ってくれるお金をあてにして、今の年金も支払われている訳です。そう考えると投票率が「年令+10」であるのも頷ける気がします。しかしまず、このような事実をもっと広く国民に説明されなければいけないと思います。例えば上述の国のバランス・シートは、財務省のHPに行っても知らないと中々見つけられません。メディアもこのことはあまり報道しません。もっと国レベルでのディスクロージャーを進ませるべきだと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。