CD・レコード、特にジャズに関しては、プロデューサーやレーベルの色が強く出ると思います。ECMというドイツのレーベルがありますが、マンフレット・アイヒャーというプロデューサーのワンマン会社ですが、どんな楽器や編成であっても、その音の質、透明感、楽曲全体に漂う匂いなどに統一された雰囲気があります。ジャケットの写真のテイストも共通しており、中身のCDデザインも全て共通で、しかもそのデザインが作品全体のテイストにぴったりとマッチしています。このような例はECMだけかというと、かつてはバーヴのノーマン・グランツとか、CTIレーベルとクリード・テイラーとか、いくつかの例があります。小説なども出版社や編集者の影響を受けますが、ジャズCDに比べるとだんちです。これは何故でしょうか?アイヒャーのような強烈な個性が出版界にはいなかったのでしょうか?或いは、作家の方が演奏家よりも個性が強いのでしょうか。
文章は静的な作業ですが演奏は動的な作業であり、本来は聴衆との生のコラボレーションの中に存在するので、プロデューサーの影響を受けやすい、いや、影響を敢えて受け取りながら創作するのではないかと私は思っています。