今日は10・4、語呂合わせで証券投資の日となっています。小泉首相も貯蓄からもっと投資に向かうような税制をと言ったそうですが、私にも私案があります。税制はいわゆる二元論、金融取引から発生する損益はそれ以外とは分けて考える方向と言われています。かつ金融取引に関しては損益を通算しようというのが学者や政府の考えだと聞きます。そうすると、仮に株式投資からの結果がゼロ・サムだとすると、損益通算を完璧に行えば行うほど、税収はゼロに収斂します。しかもその為には厖大なシステム投資と税務署員の大幅な増員が必要だと思われます。
これって変ですね。これではまるで公共事業です。綺麗な道路を掘り返して埋めるようなもんです。証券税制にはいろいろな経緯があります。しかし中長期的には、少なくとも個人投資家に関しては、株式の譲渡益課税を撤廃して、以前のような有価証券取引税という形で取引の度に薄く僅かな税金を自動的に徴収し、その結果個人は一切確定申告などをしなくて済むようにしたらどうでしょう。市場の流動性が上がると、我が国の資本市場にとってもいいことで、且つ、国としても税収が上がります。本来は税金は納税者が自分で申告するのが基本です。そうすることによって税金の使い途にも自然と牽制が働くからです。しかし国策として証券投資を推し進めるならば、このくらいのことをした方がいいと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。