19年前の夏、私は何をしていたでしょう。浦和で生まれ育った私は本州を出たことがなく、19年前、大学2年の夏に福山の友人宅に泊まり、そこから彼の車でフェリーに乗って多度津に渡り、池田高校の脇を通って徳島のもう一人の友人の家に泊まりに行ったのが、生まれて初めてのいわば「海外」旅行でした。徳島では阿波踊りに参加しました。派手な浴衣に着替えて夕方にロープウェイの下に集合し、一升瓶を持って飲みながら町内を練り歩きました。演舞場まで来た時はすっかり酔っぱらっていて、記憶はあるのですが、黄色を中心とした何色かの絵の具を水に流したような、そんな溶けた光景を思い出します。あれから19年、日経平均株価は今日、あの頃と同じ水準まで下がりました。過去は二度と戻りませんが、将来はこれから自分達で作っていくものです。株式資本主義国家である以上、株価の将来は右肩上がりにしていくのが、後生に対する責任だと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。