ニュースによると、横綱審議委員会による秋場所のけいこ総見で貴乃花は土俵に上がらず、横審のナベツネ委員長は「失望した」と発言したらしい。強さだけが力の基準であり、しかも常に土俵の上で丸裸で闘うだけが強さを証明する手段である力士にとって、相撲を取ったこともないような人達からのこのような言葉は、一体どのように聞こえるのでしょうか。まして不世出の強さを誇った大横綱にとって、しかも不養生などから来た故障ではなく、土俵の上で相手のゆるふんが原因で膝を痛め、かつそれでも期待に応えて優勝するために試合をし続けた結果のことです。誰よりも相撲の厳しさを知り、誰よりも辱められることを嫌うであろう誇り高き横綱に対して、横審の態度はあまりにも不遜であると思います。横綱の進退を決めるのは、横綱だけで十分です。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。