キューバ野球界の主砲、国民的英雄でもあるリナレスが中日に入団するそうです。驚くのはその給料で、なんと月給50万円。キューバ国内の一般サラリーマンの月収は1200円程度だというので、その比較では417倍。我が国の給与所得者の平均給与をザックリ年間500万円として同じ比率で計算すると21億円相当になりますから、まぁ国民的英雄には相応しい額かも知れません。しかしリナレスの実力から言えば、恐らくそもそも年俸で10億円は下らないでしょうから、そうだとすると月収83百万円、今の条件の166倍、その条件でキューバの平均的サラリーマンとの比較をすると実に約7万倍の収入になります。日本的に言うと、500万円の7万倍は・・・、3500億円!リナレスの月給50万円が本当の条件だとは思いにくいものがあります。国民的英雄として、165倍の部分は我々にも、キューバ国民にも、もしかしたらリナレス自身にも知られないところで、キューバ政府の外貨取得の源となるのでしょうか?国際社会のルールを無視すると、安全な投資場所として認められなくなり、その結果為替水準はこれほど大幅にずれてしまいます。そうすると有効な外貨取得の方法は、国内に投資して貰うのではなく、リナレスのように出稼ぎに出る形になります。他山の石とすべきではないでしょうか。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。