将棋の羽生善治さんにお目に掛かる機会がありました。将棋は全くの門外漢なのですが31歳にして四冠王、一度は7タイトルを全て所持していたこともある、とにかく滅法強いお方です。別れ際にミーハーにも握手させてもらいましたが、とても柔らかい手でした。話の内容は主に経済とか日本の閉塞感とか、その手の話だったのですが、最後に以前から疑問に思っていることに羽生さんが明快に答えてくれました。
「将棋は駒が相手に取られてそれが今度は相手に使われてしまうという、世界に類を見ないゲームですね。」と聞いたところ、「元々チェスや将棋といったゲームは戦闘がモデルになっているのだと思いますが、恐らく日本は単一民族なので相手に捕えられた兵士が今度は相手方に付いて闘うということがあったのでしょう。外国では異民族間の戦いだったのでそういうことがなかったのではないでしょうか。それから歩で詰めてはいけないというルールもある訳ですが、これは下克上は許さないということではないでしょうか。」と答えられました。う〜ん、深い。羽生さんとのお話は含蓄や示唆に富む事も多かったので、そのうち御披露したいと思います。