将棋の羽生善治さんにお目に掛かる機会がありました。将棋は全くの門外漢なのですが31歳にして四冠王、一度は7タイトルを全て所持していたこともある、とにかく滅法強いお方です。別れ際にミーハーにも握手させてもらいましたが、とても柔らかい手でした。話の内容は主に経済とか日本の閉塞感とか、その手の話だったのですが、最後に以前から疑問に思っていることに羽生さんが明快に答えてくれました。
「将棋は駒が相手に取られてそれが今度は相手に使われてしまうという、世界に類を見ないゲームですね。」と聞いたところ、「元々チェスや将棋といったゲームは戦闘がモデルになっているのだと思いますが、恐らく日本は単一民族なので相手に捕えられた兵士が今度は相手方に付いて闘うということがあったのでしょう。外国では異民族間の戦いだったのでそういうことがなかったのではないでしょうか。それから歩で詰めてはいけないというルールもある訳ですが、これは下克上は許さないということではないでしょうか。」と答えられました。う〜ん、深い。羽生さんとのお話は含蓄や示唆に富む事も多かったので、そのうち御披露したいと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。