2週間ほど前に佐藤工業が会社更生法適用の申請をした2日後に、新生銀行が実は昨年の夏に預金保険機構に債権の買い取りを請求したが預保はそれを拒否したという記事がありました。これは興味津々です。民間の銀行がある企業に関して経営債権困難と分析したが、国はそう考えなかった。少なくともそうでないと主張した。しかし半年後にその企業は事実上倒産した。そういうことです。そしてその『国』の評価基準に従っていわゆる不良債権額が認定されて税金が銀行に注入され、もうこれ以上税金を使う必要はないと説明されています。しかし佐藤工業の件を見ると不安になります。もっと税金は必要になるのではないかと。昨夏であれば個別の企業の評価を公表することは憚れたでしょう。しかし今であればそんな心配をする必要もありません。預保は、国は、納税者に対して、どのように考えて半年前の段階では佐藤工業は問題ないと判断したのか、その方法論をつまびらかにすべきではないでしょうか?
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。