日本では何故ベンチャー企業がアメリカのように育たないのか、という問題を語る時、「どうしたら銀行はもっとベンチャー企業に資金供与するのか」とか、「ベンチャー・キャピタルの役割は」とか、そういった金融の問題として捉えられる場合が多いように感じます。しかし私はこの問題は金融機関の問題ではなく、大企業の問題ではないかと考えています。ベンチャー企業の持つ新しい技術とかアイデアをもっとも正確かつ迅速に評価できるのは銀行ではなくて、同じ分野にある大企業ではないでしょうか。評価するリソースも、リスクを知る経験も、その事業を伸ばしていくのにもっとも大切なサポートを供給するネットワークも、それら全て持っているのは大企業です。しかし今まで大企業は新興のベンチャーが現れると、潰すか取り込むかというデジタルな判断をしがちで、例えば49%まで出資してベンチャーの経営権を尊重しながら応援し、共存共栄を図るということをあまりして来なかったのではないでしょうか。こういった所もこれから改善されていくといいと思います。