「日本はあれだけうまく行っていたのに、最近はどうしてしまったのだろう?世界は、時代は、変わってしまったのだろうか?日本はどう変わるべきなのだろうか?」というような論調をよく耳にします。これは戦後の高度成長期の社会システムを肯定した上で、現代世界の変化に応じて日本は今どう変化すべきか、という考え方だと思います。果たしてこれは妥当な議論でしょうか?これはあくまでも仮定ですが、国土も心も徹底的に荒廃し、経済も壊滅的な状態にあった日本が、戦後40年の間に世界第2位の経済大国になる過程は、ある意味で狂気というか、尋常なシステムでは達成できなかったのではないでしょうか。バブル期以降の日本を例外的に考えるよりも、戦後からバブル期までの期間を例外と考え、極限的なやり方によって何とか大急ぎで復興・成長した我が国が、平常のシステムに戻ろうと模索するプロセスがバブルの崩壊からの10年間だと考えるべきではないでしょうか?バブルのピークを基準に日本を考えるのではなく、その前の過程から含めて日本を見直し、よりバランスの取れた普通の民主的な社会システムを今こそデザインしてインストールする時期に来ているのではないでしょうか?
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。