先週の中国株ですが、上海総合指数は反落、深セン総合指数と創業板指数は続伸、香港ハンセン指数は続落となりました。先週お伝えしたように中国は2月28日(土)の夕方に利下げに踏み切りました。中国本土株は週初、素直に利下げを好感して上昇してのスタートとなりました。3月2日(月)には2月のHSBC中国製造業景況感指数(確報値)が50.7と発表され、速報値の50.1や1月実績の49.7よりも高い結果となったこともあり、特に鉄鋼や電力といった負債を抱えている国営企業が上昇を牽引しました。しかし、3月2日(月)の夜に24社のIPOが承認されたことが発表されると、需給悪化に対する懸念が台頭して3月3日(火)には早くも反落。

3月4日(水)は3月5日(木)から開催される全国人民代表大会で、何か材料が出るのではないかとする期待が入り反発しました。しかし、全国人民代表大会が開催されると、その開幕式で李克強首相が2015年の経済成長率目標を7%程度とする方針を発表。これをキッカケに3月5日(木)には大型株は再び値を下げる展開になりました(ただし中小型株は景気刺激策の恩恵期待から値を上げています)。先週指摘したように、今回の全国人民代表大会では2015年の経済成長率の目標について2014年の目標と同じ7.5%と設定してくるのか、そとも現状の中国経済のスローダウンを容認して低い目標を設定するのかが焦点だったわけですが、低い目標が設定されたことで追加景気刺激策の期待感が後退したわけです。そして、3月6日(金)は全国人民代表大会から特に大きな材料が出てこない中で、今週に23件のIPOが控えていることからの需給懸念が台頭し、引き続き値を下げる展開となりました。

香港株も中国株と同じような値動きになりましたが、こちらは上海総合指数よりも下落幅が大きくなっています。これは米国が予想よりも早く利上げを行うのではないかとの懸念があったためとみられます。香港ドルは米ドルとペッグしているために米国の金利が上がれば、香港の金利も上げなくてはならないからです。そして実際のところ、3月6日に発表された米国の雇用統計は予想以上に良い結果となり、米国の利上げの時期が早まる見方が台頭しています。したがって今週の香港株は弱い推移となることが予想されます。

なお、3月8日(日)には中国の2月の輸出が48.3%増、輸入が20.5%減と発表されました。輸出が大きく伸びた形ですが、これは旧正月の影響として、余り材料視されないものと思われます。今週は3月10日(火)に2月の消費者物価指数と2月の中国の新規人民元建て融資額、3月11日(水)に2月の中国小売売上高, 2月の中国鉱工業生産、1-2月の中国固定資産投資がそれぞれ発表される予定です。

※1月の中国小売売上高、鉱工業生産、固定資産投資は旧正月の関係で発表されていません。

コラム執筆:戸松信博