神田駿河台下の交差点からすずらん通りに入ると、三省堂から一つ神保町寄りの角に冨山房書店のビルがあります。あの大言海を出版した会社です。今はそこは薬の量販店になっていて、横の階段から地下に降りて行くと喫茶店があり、大言海のサンプルや、冨山房文庫などの出版物が多少、中央のテーブルの上に並べて売られています。
どういったいきさつでそうなったのか、その喫茶店は果たして何なのか、そういったことは御想像にお任せします。私も真実は知りません。先日ふらっと寄ってみて、昭和詩抄を探してみました。萩原朔太郎が編んだアンソロジーで、学生の頃何度も何度も読んで、復刻版でしたが味のある活字で(実際には古い活字を再現した写植だったと思いますが)、何度も買って人にあげたりもしていました。ところがなくしてしまったのです。喫茶店のレジの方が別室(倉庫でしょうか)まで探しに行ってくれましたがありませんでした。デジタルもいいですが、いい本が減って行くのは寂しいことです。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。