財務省は「欧米に比べて著しく低い国債の個人保有比率を高めるため」に、個人向けに一万円から買える国債を新たに設計し、2003年に第一弾として3000億円発行するらしい。因みに国債も郵便貯金も、国の国民に対する直接的な金銭債務としては同等です。日本では「郵便貯金」が260兆円もあり、これほど大きく国民が国の信用力の金融商品を保有している国はどこにもないでしょう。新しいタイプの国債を設計・発行するにはそれなりのコストも掛かると思うのですが果たしてどれだけの意味があるのでしょうか?
税制などに関しても、「Aによって税収が5000億円減るので、Bの税率を上げて補う方針」というような記事をよく目にしますが、800兆円の債務超過に陥っている国としては、もっと根本的な問題に取り組みべきではないでしょうか。我が国はそんな枝葉末節なことに時間を費やしている暇はないと思うのですが。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。