日本の国債の格付けが下げられました。G7の中では最下位、更にスロベニアよりも低く、ムーディーズによっては香港よりも低くなっています。チェコ、ハンガリー、ボツワナ、チリなどからも1ランク上なだけです。民間の格付け機関の評価が絶対だとは思いませんし、そもそも国の債務のほとんどが国内でファイナンスされている我が国において、このような格付けにどれだけの意味があるのかも疑問です。が、しかし、こんな格付けです。先進国だと思っていた我々は裸の王様だったのかも知れません。失われた10年とよく言いますが、10年というのは現代経済世界においてはとても長い時間です。
かつて地上の楽園といわれたローデシア(ジンバブエ)は、この10数年の間に通貨価値が何と800分の1になりました。我が国の構造変化がいつ起きると考えているか?という質問をよくされるのですが、私は「半年から4年、恐らく1、2年内」と答えます。この国ではもっと掛かるのではないかと言う方もよくいますが、これ以上掛けると我が国は単なるアジアの小国になり下がるでしょう。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。