澁澤栄一が、80から90年ほど前に、「元気振興の急務」ということを唱えたそうです。
「社会全体の元気が消沈して、諸般の発達すべき事柄が著しく停滞してきたようだ。(中略)政府も役人のことなかれ主義で常識による本能をもって事を処する活力に乏しい。(中略)事業は皆非常な元気を持って計画され、勿論多数のなかには失敗したものもあったが、成功したものの一因はやはり元気と精力であったと思われる。今の青年達は全く元気がない。(中略)堅実なる事業に就いて何処までも大胆に、剛健にやれというのである。今日の時代は従来の事業を真面目に継承してゆけばよいという場合ではない。日本の現状は守勢の時代ではなく未だ創造の時代である。万難を排して苦難に堪え種々の事業を創設発展して行かねばならない時である。」
80年前と今と、ほとんど何も変わっていないように聞こえます。人の営みは斯くも虚しく成長も蓄積もないものなのでしょうか。しかし一方社会インフラなどは遥かに充実したことは明らかです。文明には蓄積はあっても、文化には学習はないのでしょうか。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。