株式市場の低迷の原因として海外のヘッジファンドなどの空売りを挙げ、それを何らかの形で規制しようという考えがあるそうです。私はその考え方は間違っていると思います。そもそも売買と株価の上下は別個のものです。「売るから下がる」と考えられがちですが、売り買い同数なければ取引は成立しませんから、売る時には必ず買いもある訳で、「売るから下がる」とは言えません。更に、売りやすいものは実は値段は下がりにくいものです。中古車市場で中々売れない高価な外車は、新車を買った瞬間に市場価値は大きく下がります。一方中古車市場で簡単に売れる日本のT社の車は中古でも値段はあまり下がりません。外車の中古車を更に売りにくく規制したら、その市場価値は却って更に下がるでしょう。マーケットの仕組みを理解しないで魔女狩り的にアイデアを出すのは問題だと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。