何度か書いているように流体力学は大変複雑で不確定要素が多く、いま手を離れた風船が5分後にどこにあるのかも特定できません。宇宙船が太陽系の惑星をほぼ全て探索できるこの時代においてもです。株価の動きもどこか似たところがあります。分子の不確定な動きに似た面があり、実際株価の動きを数学的に解析したオプションの公式「ブラック・ショールズ・モデル」は熱力学の公式を使っています。
株を売買する投資家が不特定多数であり、それぞれがランダムな動きをするからでしょうか。然しながら風船の行方はいつまでたっても捉えどこらがなく方向性が定まりませんが、株価はいつまでもバラバラにランダムに動く訳ではなく、長期的に見ると強い方向性、トレンドがあります。面白いですね。これは人々は短期的には予想のつかない、或いは全体として統制のないバラバラな行動を取るが、長い目で見ると経済や生活の向上とか、より良い国家の構築という強く方向付けられた意思があるからでしょうか。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。