世界的に著名な投資家であるウォーレン・バフェットは日曜日のテレビ番組の中で、「経済的に一週間前の米国と今の米国は違う国ではない。所有株は一切売らない(これが月曜日はという意味か、当面という意味かは私が調べた限りでは不明瞭なのですが)。大きく売られれば買うチャンスもある。」と言ったそうです。個人投資家の間にも「ここで売ったらテロリストの思う壷だ。みんなで売らずに、アメリカの会社の株を一株買おう。」といった気運も一部で上がっているそうです。昨日の米国株式市場は、S&P500種で5%弱の下落、売買高はNYSEにおいて過去の記録を13%上回る史上最高高だったようです。下落幅は他国(特に日本)における幅や事前の懸念に比べると大したこともなく、「売り注文が殺到」などと(特に日本のメディアが)書かれますが、売り買いが均衡しなければ売買は成立しない訳であり、「買い注文も殺到」していたとも言えます。評論家にならずに当事者としての意識を強く持ち、自らの経済、資本市場を守ろうとする意志が垣間見えます。勿論マーケットは行くべき所にしか行き着きません。しかし昨日もつぶやいたように期待や信頼はマーケットの重要な、そして恐らく最大の部分です。このような当事者意識をいろいろな面で我が国ももっと持つべきではないでしょうか。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。