今朝の日経新聞一面のコラムによると、日本の銀行は未だに大企業向けの融資残高を減らさないようにあの手この手で努力をしているようです。株の持合い、銀行がビジネスを企業に発注する見返りに融資を維持するという「取引の持合い」、市場金利を下回る金利、等など。一方で銀行の借入を無担保で受けられない中小企業が全国に溢れています。このような「集中」はリスクを増大し、成長を阻害します。先日サンフランシスコのコンフェランスで隣りに座ったバンク・オブ・アメリカの幹部に聞いた所、銀行全体の資産残高は維持しているものの、企業向ローン残高はここ5年ぐらいで大幅に減らし、個人向けローンや様々な形での証券向け投資などを増やし、リスクの分散を大きく進めてきたそうです。そもそも「集中」といったものが我が国の金融の大きな根本的な問題だと考えているのですが、そのことについてはまた説明したいと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。