サンフランシスコの気候は一風変わっています。海流や霧のせいで8月の末頃が9月、10月よりも寒くなると言います。マークトゥエインは「もっとも寒い冬はサンフランシスコの夏だった」と言ったそうですが、流石うまく言い当てていると思います。この当地で大がかりな講和条約50周年記念式典が開かれました。50年前の9月8日に講和条約がそして安保条約が締結されました。日本は主権を回復し、国際社会に復帰することが許され、敵国は同盟国として扱われ、平和を維持するための仕組みが置かれました。この極めて重要な歴史を大切に回顧する、意義ある式典だったと思います。過去の恨みや痛みを忘れることはいいことだと思います。それは限りある命を持つ「ヒト」に与えられた極めて重要な力だと思います。しかし一方で過去の過ちから学習し、教訓を忘れないことは更に重要なことだ思います。50年前の史実の回顧が、日本よりもアメリカにおいてしっかり行われたのではないかと、一抹の不安を覚えました。
(先程台風の雲を突っ切って無事成田に着陸致しました)
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。