◆日曜日の午後と言えばJ-WAVEのTOKIO HOT 100だ。東京の「今」をナビゲートする同プログラムは1988年の開局以来、J-WAVEの看板番組である。最近のヒットチャートでは、テイラー・スウィフトの「I KNEW IT, I KNEW YOU」が初登場以来、何度も1位を獲得、ランキング上位に並んでいる。この曲は「トイ・ストーリー5」の主題歌だ。先日、MCを務めるクリス・ペプラーが娘さんと一緒に映画館に行って来たとコメント、「トイ・ストーリー5」を絶賛していた。
◆その「トイ・ストーリー5」、今回のテーマは「デジタルの脅威」だ。想像力が豊かで、おもちゃが大好きな女の子ボニーの日常が、最新の電子タブレットの登場によって一変。多機能なデバイスに夢中になるボニーの姿を前に、おもちゃたちは自分たちの存在意義に疑問を抱き始める。「おもちゃはもう必要とされていないのか」。ウッディとバズの名コンビが、おもちゃの居場所を守るため、新たな脅威に立ち向かうというお話である。
◆容易に想像がつくと思うが、このテーマは「人間とAI」のアナロジーである。AIやデジタル技術はとても親切だ。質問すれば答え、好みを覚え、次に欲しくなるものまで先回りして見せてくれる。便利ではあるが、便利すぎるものに囲まれると、人間が自分で考えたり、退屈したり、寄り道したりする時間は少なくなる。ただ、われわれは新しいテクノロジーと出会ったとき、常に同じような問題に直面し、悩み、自問自答を繰り返し、それでも前に進んできた。
◆だから、「トイ・ストーリー5」のメッセージも、「タブレットを捨てて、おもちゃに戻ろう」という単純なものではない。タブレットで動画を見る時間があってもよい。AIに宿題のヒントをもらってもよい。SNSで友達と話してもよい。ただ、ときには何も表示されないものを手に取り、自分で物語を作る時間も必要だというメッセージである。
◆床に置かれた人形は、次に何をすべきか教えてくれない。だからこそ、子どもは考える。退屈するから工夫し、うまくいかないからやり直し、友達と意見が合わないから話し合う。ウッディたちおもちゃは、昔懐かしいアナログ時代の象徴ではない。自分で考え、自分で動かし、自分で世界を面白くするという、人間の力だ。タブレットのバッテリーが切れたとき、子どもが途方に暮れるのか、それともウッディを手に取って新しい冒険を始めるのか。『トイ・ストーリー5』は、そんな少し笑えて、少し考えさせられる問いを、僕たち大人にも投げかけている。
