過去最高を大きく更新した米ドル買い越し

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の米ドル・ポジション(非米ドル主要5通貨=円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルのポジションで試算)は、6月30日時点で買い越しが42万枚となり、これまでの最高を更新した(図表1参照)。これまでの最高は、2024年4月などに記録した38万枚だったので、それを大きく更新したことになる。

【図表1】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2000年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

米ドルのポジションは、5月半ばにはほぼニュートラルだった。それがその後の1ヶ月半程度という短期間に買い越しが過去最高を大きく更新したということは、その間の米ドル買いがかなりのハイペースだったことを感じさせる。

ニュートラルからほんの1ヶ月半で過去最高を更新=米ドル買い越し

米ドル買いが急拡大した最初のきっかけは、米金融政策の見方が利下げ予想から利上げ予想に変わったことだろう(図表2参照)。その上でイラン戦争終結期待から原油価格が急落したことから、豪ドルや加ドルという資源国通貨が売られたことも米ドル買いを後押しするところとなった。

【図表2】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2024年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

そして、6月半ばに行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)に初めて参加したウォーシュ新FRB(米連邦準備制度理事会)議長が、予想以上の金融引き締め支持「タカ派」と受け止められたことは、米ドル買いを一段と加速させた。

ただ、米ドル買い越しが過去最高を更新したということは、別な言い方をすると米ドル買いがすでに「未踏の領域」に入ってきたということでもある。米ドルは「買われ過ぎ」懸念が強くなっており、さらなる米ドル買いには自ずと限度があるのではないか。

対円など中心にさらなる米ドル買い限られる可能性も

通貨別に見ると、米ドルに対して最も売り越しが大きいのは円で、6月30日時点では15.5万枚だった(図表3参照)。これに続いたのは加ドルの15万枚、英ポンドの10.2万枚だった(図表4参照)。英ポンドの売り越しはほとんど過去最高規模に達したとの意味になる。

【図表3】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2005年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
【図表4】CFTC統計の投機筋の英ポンド・ポジション(2000年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

以上のように見ると、円、加ドル、英ポンドなどの通貨を対象に米ドルの「買われ過ぎ」懸念がかなり強くなっているようだ。これまで経験したことのなかったところまで米ドル買い越しが拡大したことは、さらなる米ドル買いが限られる可能性としても受け止められることになるのではないか。