アメリカにはサマータイムというものがあります。春から秋まで、時刻を1時間うしろにずらします。仮に本来であれば午前4時から午後8時まで明るいとすると、サマータイムによって明るい時間帯が午前5時から午後9時にずれます。要は朝早くから明るい必要はないし、一方より遅くまで明るいと、いろいろな生活行動がより遅い時間まで出来るので、消費を刺激できるだろうという施策です。実際午後8時のニューヨークはまだ明るく、街は会社帰りの人たちがショッピングをしたり、同僚や友人と一杯したりとかで、とても混み合っています。日本でもデパートなどが営業時間を遅くまで延ばしていますが、周りが明るいか否かで出掛け易さは心理的に随分違う筈です。つまらないことのようで、個人消費をこのようにあの手この手で刺激するのと、ただ単に放っているのとでは、結果は大きく違って来ます。「個人消費」と言ったものをもっと政策の中心に持って来ることがこれからは重要ではないでしょうか。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。