LTCMでいろいろな意味で世間を騒がしたジョン・メリウェザー(JM)については今までに何度もつぶやきで書きましたがまた書かせて下さい。
今発売中のビジネス・ウイークがまたしても痛烈に批判・攻撃をしています。「米株式市場も一方向の上昇基調でなくなった今、ヘッジ・ファンドは人気の筈である−JM以外は。あれだけの失敗をしたのでみんなJMを信用できない、云々。」JMの人となりを知っている者には目を覆いたくなるような内容です。JMは恐らく悠々自適で余生を暮らせるだけの財力はあるでしょうし、彼を尊敬し崇め奉る人間もまだまだ大勢いて、何もわざわざ同じヘッジ・ファンド・ビジネスに復帰して、かつて彼に最大の敬意を表した人たちに頭を下げてお金を集め、マスコミからも興味本位で詮索され侮辱される道を選ばなくても良かった筈です。しかし彼は自らその道を選びました。自分達の投資理論の正当性を証明する為に、自分達の取った行動が勿論ふざけた気持ちから起きたことではなくマーケットという怪物の中で起きた事故であり、その中で最善の対処をしたことを証明する為に、或いは既に全ての緊急支援資金を返済したにも拘らず、未だに世間を騒がせたことに対する責任を全う出来てないと自ら規定して贖罪を続けているかのように、彼とその仲間たちは淡々と仕事を続けています。私はそんなJMをこの業界の人間として、或いは一人の人間として、とても尊敬しています。世間の冷たい目に負けない毅然とした態度をこれからも応援して行きたいと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。