さて何のことでしょう?金融庁は生保の実体に初めてメスを入れました。運用が逆鞘なので予定利率を引き下げたいという議論が最近なされており、その前にコストの構造を明らかにすべきではないかという話を以前にもつぶやきましたが、まさにその部分について明らかになって来ました。
生保業界全体で、99年度の利差、即ち運用差損は約1兆4千億円。費差益、死差益は併せると約3兆7千億円でした。利差はまだ何のことだか分かりますが、費差、死差とは何でしょう?どうやら費差というのは、予め予想していた費用(そしてそれは保険料にチャージされる訳ですが)と実際の費用の差、死差益というのは、予め予想していた死亡率(これも同様に保険料にチャージされる訳ですが)よりも死亡率が低いために儲かったお金のことのようです。要は余計に費用を見込んだり、死亡率を高く見積もることによって多く保険料を取っていたということでしょうか?そして運用の逆鞘を埋めるために、これらの見積もりの見直しをする前に、予定利率を引き下げようとしているのでしょうか?かなり問題があるように私には見えるのですが、何か見落としているのでしょうか?
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。