栗の季語は秋ですが、今頃からその存在を主張し始めます。今日名古屋の大学で講演をしたのですが、そのキャンパスに栗の花穂(かすい)の匂いが漂っていました。東京では6月頃にならないとあの匂いは嗅ぎませんので、やはり東京と名古屋でもそれなりに緯度の違いの影響があるのでしょう。その匂いに促されるように辺りを見回すと、木々の緑もやはり東京よりも一歩進んだ若々しさがありました。梅雨、夏ももうすぐそこまで来ているのですね。以前にもつぶやいたことがありますが、新しい季節の到来やその予感にハッと気付かされるのは、やはりいつも香りか音であって、視覚ではありません。情報化時代でいろいろな情報や映像が氾濫しているために、相対的に視覚が刺激に対して鈍くなっているのでしょうか?それとも嗅覚・聴覚によって季節の訪れを知るのは古今・新古今からの日本の伝統なのでしょうか?そんなことをふと考えてみました。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
-
ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。