どこかに何かがあるのが見えても、それは目がそこまで伸びている訳ではなくて、網膜に映った映像を神経が感じています。遠くに見えても、実際に見えているのは目の中です。音楽もそうです。結局全てのものは、「自分」という媒体に映して、初めて認知されます。そう考えると「自分」次第で全てのことが違って感じられ得るということになります。
モンテーニュは「幸せはあなたの心の中にある」と書きましたが、万物の霊長としてもっとも優秀な知性を持ったヒトが、動物よりも不幸だったら確かに知性の使い方を間違っているのでしょう。「感じる」というと、あくまでも事実が先にありきで受け身でそれを表しているように聞こえますが、本当は全て能動的に決めているのかも知れません。なんか禅問答のようですが、こんなことをふと考える時もあります。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
-
ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。