今日はちょっと軽い話を。むかし米国債や米国機関債(及びそれらのオプション)のトレーディングをしていた頃、と言うかまだ駆けだしのトレーダーだった頃のことです。
ソロモンからゴールドマンに転職して、短期間「ゴールドマン流」を学ぶためにNYオフィスにおりました。一般にゴールドマンのトレーダーの方が良く言えば知的、悪く言えば線が細いなという感触を持っていましたが、一人男気の強い、荒削りな大男がいて、「あぁ、ここにもこういう奴がいる」と私は何故か嬉しくなり、とても仲良くしておりました。彼は中東の今は民主制になったある国の旧王家の出でした。しかしそういう出自を感じさせないナイスガイでした。ある日私は彼に「趣味は何だい?」と聞くと、彼は「オークション(入札)さ」と答えました。彼は機関債のトレーディングの責任者だったので、やはりこいつは本当に仕事に燃えている、なんていい奴だろうと考え、「ふ〜ん。やっぱりファニー・メー(米国機関債市場でもっとも大きい発行体)かい?」と聞くと、曰く。「何言ってんだよ!クリスティーズだよ。」