割高なものを売って、割安なものを買うのは裁定取引の基本です。今私が回りを見回すと、一番割高に見えるのは我が国の長期国債です。金融セクターも含めてまだまだ問題も残されていますし、何よりもマーク・トゥ・マーケットされていない不良資産がまだまだあるので、そう言った意味では金利は中々上がりにくいでしょう。
しかし10年国債で1.4%はさすがに高い(金利は低い)。10年間の間にはさすがにインフレも来るでしょうし、そもそもアメリカの10年国債金利が5%以上です。アメリカよりも4%も低く10年間も借金が出来るなんて、なんてことでしょう。今でも日本は世界最大の債権国です。いくら借金してもまだまだ貸しているお金の方が大きいのですから、とにかく長期国債を海外投資家向けに超大量に発行して借金をし、そのお金で買えるものは何でも買ってしまう方が長い目で見て国益につながると思うのですが、如何でしょう。
外資に何を売れるかを考えるよりも、今何を買えるかを考えた方がいいと思いませんか?
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。