「くしゅう」と聞いて、どんな漢字が思い浮かびますか?

先日、大学時代の同級生で、現在は大学の先生をしている友人と、10年ぶりくらいに食事をしました。すると突然、「そうだ、ゆうこに『くしゅう』を持ってきたんだ」と言われ、「くしゅう???」と戸惑いました。が、差し出されたのは彼女の句集でした。俳句を詠んでいることは知っていましたが、句集まで出しているとは思わず、「ありがとう……でも、この分野、私から一番遠いかも……」というのが正直な反応です。

すると彼女はこう言いました。「俳句は短いからいいの。出張や旅行のときに一句詠んでおくと、あとから情景が鮮明に思い出せるよ」。「短い文章ほど難しくない?」と返すと、「じゃあ、写真送って。私が俳句にしてみるから」と。

このやり取りは、私にとって良い刺激になりました。俳句っておしゃれだな、という感想とともに、自分の中になかった世界を想像する時間が、思いのほか心地よかったのです。俳句と聞くと、文学的な探求としてどこか小難しく構えてしまいがちですが、実は娯楽であり、社交であり、粋なコミュニケーションなのかもしれません。

たった十七音から情景を想像し、心が少し動く。新しい世界に触れることは、知識を増やすことだけでなく、想像する力を借りて、心を豊かにすることなのだと感じました。

そういえば昨日は「春の歌会始」が行われました。季節を言葉に留める営みが今も受け継がれていると思うと、背筋が伸びる気持ちになります。もっとも、和歌や俳句は私にとってまだ身近とは言いづらく、詠める気はしません。それでも、いつか「出張や旅のたびに一句」という楽しみ方を、そっと生活に取り入れてみたいと思っています。人は、少し背伸びをしながら、新しいことに触れ、自分を更新していく生き物ですから。

意外と俳人は多いと聞きます。まずは想像するところから。そんな一歩も、今の自分にはちょうど良いのかもしれません。