東京に帰って参りました。ダボスを発つ朝に私の参加していたGLTという青年部会のような場所で、今後個別に討論して行くべき議題の検討が行われました。そこに居た100人位の中で日本人は私だけです。議論はやはりアメリカ人や、英語を母国語とする人達が大部分リードして行きます。そんな中で思い切って「コミュニケーション」の重要性を話してみました。全ての議案(ヘルスケアとか、環境問題とか、南北東西の融合とか)は重要であり、素晴らしいのですが、それらは全てコミュニケーションが在って始めて成り立つものであり、現状の議論の仕方は必ずしも適当でないかも知れない。自由な議論の場を提供するということと、公平な議論のためのプロトコールを確立するということの間には、大きな質的な隔たりがあります。そんなことを伝えようと試みました。東欧、アフリカ、アジアなどからの数人が頷いていました。「自分のことを理解させる」というのは、或る意味でもっとも基本的な人権ではないでしょうか?結局、多民族間での議論のプロトコールの確立を含めた、「多民族人権問題」が新たな議題に加えられました。或る意味では今までそのような議題がなかったというのも驚きですが、いろいろと微妙な問題を孕んでいるようです。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。