昨日はダボス会議の肯定的な面を観察してみましたが、今日は敢えて否定的な側面について考えてみましょう。ここはやはりアングロ・アメリカンやユダヤ人による、アメリカと西欧を中心とした世界観の中での「世界経営者会議」です。確かに世界中からの人々を受け入れています。誰であっても発言は出来ます。そういった意味で機会は広く与えられています。しかし仮に機会が公平に与えられても、そのことによっては必ずしも結果の平等は担保されないことを銘記すべきでしょう。或る文化における議論の形式の中で、その言語で議論が行われる時に、その文化・言語圏の外側の人には大きな負担があります。そのような負担、ギャップが存在するということの認識がなければ、真のコミュニケーションは達成されず、一方の自己満足で終わってしまう可能性があります。J・F・ケネディー大統領は、この点についての深い理解を示唆する演説を行なっていますが、一見世界のコミュニケーションがたやすくなったと見える今日にこそ、このことに関する再認識が必要ではないでしょうか。