政府は金庫株とかいろいろな株価対策を考えているようですが、そんな小手先の対応よりも構造的な対処をすべきだと思います。私の一押しは単位株制度の改善です。株式分割、或いは単位の括り替えの際の一株・一単位当り最低純資産額50000円の制限を500円とかに書き直すだけです。個人金融資産に占める株の割合は日本で10%弱、アメリカで40%弱ですが、この差の一番大きな原因は日本では一株買うのに何十万円もするのに、アメリカでは数千円から買えることにあると考えています。
日本でも数千、数万円から株が買えれば、競馬や宝くじに行っているお金も含めてもっと多くの個人のお金が株式市場に向かうことでしょう。日本とアメリカでは30%も違う訳ですが、仮に10%だけでも個人のお金が預貯金から株に移るとそれは140兆円の純粋な資本の流入になります。東証上場企業の時価総額の和は約380兆円。140兆円というとその3分の1を超えます。これだけの資本が移動すれば単純に計算しても平均株価は20000円に行くでしょう。様々な影響も考慮すると2万数千円にも達するのではないでしょうか。政府は何でしないのでしょう?
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。