週末の新聞に、電波の帯域のセカンダリー・マーケットが、オーストラリアでマコーレー銀行によって始められるという報道がありました。つまり政府から与えられた帯域を流通市場の中で他人に転売し、更に第三者間で売買することを可能にするというのです。政府もバックアップしています。電波の帯域などの有限の資源の最適利用は重大なテーマであり、マーケットという仕組みを通じて、より有効に利用できる者がより高い対価を払ってその資源を利用する権利を獲得できるようにし、その結果最適利用を実現しようとするものです。これは中々深くて面白い。マーケットのメカニズムはいろいろな局面で利用できる筈です。およそ「割当て」をしなければいけないものはマーケットに委ねるのが恐らくもっとも有効な方法でしょう。アメリカでは今回の大統領選で投票権をネット上のオークションに出そうとして止められたケースがありましたが、他にも使いようはありそうですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。