東京市場まとめ

1.概況

日経平均は215円高の50,818円をつけ反発して寄付きました。明け方にFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が公表され、政策金利の0.25%引き下げが決定したほか、短期国債の購入方針も示されたことで、前日の米国市場では主要3指数が揃って上昇しました。一方で、米オラクル[ORCL]の決算が振るわず、ソフトバンクグループ(9984)が下落したことで日経平均の上値も重く、293円安の50,308円で前引けとなりました。

後場は寄付きで下げ幅を拡大し、その後は安値圏での推移となりました。12時35分には676円安の49,926円をつけ本日の安値を更新しました。その後は5万円台を回復するも、上値を追う材料にかけ、最終的には453円安の50,148円をつけ続落となりました。

TOPIXは日中に最高値を更新も、終値では31ポイント安の3,357ポイントで4日ぶりに反落、新興市場では東証グロース250指数が14ポイント安の653ポイントで反落となりました。

2.個別銘柄等

ソフトバンクグループ(9984)は7.7%安の17,225円をつけ大幅続落となりました。米オラクル[ORCL]が発表した2025年9-11月期決算は、売上高が市場予想に届かず、AIへの過剰投資に対する懸念も改めて広がり、朝方の時間外取引で大きく売られたことから、オラクルなどと共同で米国にAI向けのデータセンターを構築する「スターゲート」計画を進めている同社にも売りが波及しました。

荏原製作所(6361)は2.3%高の4,034円をつけ続伸となりました。10日、外資系証券が同社について投資判断を3段階で最上位の「買い」、目標株価を5,000円として調査を開始しました。目標株価が足元の株価水準を大きく上回ることもあって、買いが優勢となりました。

TOPPANホールディングス(7911)は一時7.9%高の5,217円をつけ上場来高値を更新しました。10日、半導体やディスプレイといったエレクトロニクスをテーマとした事業戦略説明会を開催し、先行きにおける半導体関連事業の売上を拡大する中期見通しを示したことで、業績成長に期待した買いが入りました。

サンリオ(8136)は1.9%安の4,905円をつけ3日続落となりました。高市首相の国会答弁を巡って日中関係が悪化するなか、全体の売上高の2割弱を占める中国事業の減速を懸念した売りが続いています。

丸千代山岡家(3399)は2.6%安の2,840円をつけ反落となりました。10日、11月の既存店売上高を発表し、前年同月比15.7%増と堅調な業績を示すも、前年同月の同25.2%増と比べ、伸びが鈍化していることなどを嫌気した売りが出ました。

VIEW POINT: 明日への視点

日経平均、TOPIXともに0.9%安となりました。東証プライム市場の構成銘柄も約8割が下落しており、全体として弱含みました。

明日の材料には、米国の新規失業保険申請件数が注目されるほか、米半導体のブロードコム[AVGO]、食品小売りのコストコ・ホールセール[COST]の決算があげられます。中でもブロードコムは半導体市場の動向を占う上で注視され、日本市場にも波及する可能性があることから注目です。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)