1000万円を持っている人1人と、100万円を持っている人10人。どちらも合わせると1000万円ですが、さて証券会社はどちらに営業するでしょうか?今までの常識ですと当然1000万円持っている人でしょう。1人に対する営業と10人に対する営業では手間・コストが大きく違うからです。ところがITがその常識を覆し得ると思います。10人が全く同時に取引をする確率は低いでしょうから、1人用と10人用のシステムコストは10倍にはなりません。規模のメリットを取り、うまく設計すれば、コストはさ程変わらないでしょう。であれば私だったら100万円X10人の方が断然いいと思います。リスクが分散されるからです。10人がみんな同じ取引をすることはまずないでしょうから。これは証券会社に拘わらず当てはまることで、従来の営業の常識を破壊するものです。やっぱりITの可能性っていろいろと広がりがありますね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。