アメリカ大統領選の混乱は1ヶ月かけてようやく収拾を見ましたが、この間クリントン大統領の自作自演の5分間ほどのビデオ・クリップが人気を呼びました。ネット上でダウンロードできるので御覧になられた方も多いと思いますが、これは傑作です。政権から降りることが決定した大統領はレイム・ダックと呼ばれ急速に権力を失って行くことは良く知られています。クリントンはそれを正面からユーモアたっぷりに演じました。記者会見をしても1人しかいなくてしかも居眠りしている。ホワイトハウスにも誰もいなくてクリントンが自ら職員向けの電話を取っている。テレビキャスターが「彼は過去の人だからもう興味ない」とあっけらかんと言う。ヒラリーが出掛ける時に「お弁当忘れたよー」と言って車を追いかけるがヒラリーは見向きもしない。やがてホワイトハウスの事務職員と友達になり大統領執務室でネット・オークションを楽しんだりするようになる。そんな話です。建国時から大統領は統治者でなく、国民から民主的なプロセスにより信託を受けて就任期間中だけ政務を執る存在である。そんなことを昔習いましたが、まさにデモクラシーの香りの漂う素晴らしい作品だと思います。アメリカには悪い所もいっぱいありますが、このような突き抜けた青空のような良さもあります。
(御興味のある方は例えば http://www.adcritic.com/ で見られます。但しかなりの広帯域環境でないと厳しいです。5分間のクリップで16MBぐらいあります。)
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。