アメリカ大統領選の混乱は1ヶ月かけてようやく収拾を見ましたが、この間クリントン大統領の自作自演の5分間ほどのビデオ・クリップが人気を呼びました。ネット上でダウンロードできるので御覧になられた方も多いと思いますが、これは傑作です。政権から降りることが決定した大統領はレイム・ダックと呼ばれ急速に権力を失って行くことは良く知られています。クリントンはそれを正面からユーモアたっぷりに演じました。記者会見をしても1人しかいなくてしかも居眠りしている。ホワイトハウスにも誰もいなくてクリントンが自ら職員向けの電話を取っている。テレビキャスターが「彼は過去の人だからもう興味ない」とあっけらかんと言う。ヒラリーが出掛ける時に「お弁当忘れたよー」と言って車を追いかけるがヒラリーは見向きもしない。やがてホワイトハウスの事務職員と友達になり大統領執務室でネット・オークションを楽しんだりするようになる。そんな話です。建国時から大統領は統治者でなく、国民から民主的なプロセスにより信託を受けて就任期間中だけ政務を執る存在である。そんなことを昔習いましたが、まさにデモクラシーの香りの漂う素晴らしい作品だと思います。アメリカには悪い所もいっぱいありますが、このような突き抜けた青空のような良さもあります。
(御興味のある方は例えば http://www.adcritic.com/ で見られます。但しかなりの広帯域環境でないと厳しいです。5分間のクリップで16MBぐらいあります。)