天ぷらは日本に限ります。ニューヨークでどんなにいい天ぷら屋さんに行っても限界があります。それは揚げる油に秘密があるようです。日本では最も高級な天ぷら屋さんは一晩だけ揚げて、すぐにその油をちょっと下の天ぷら屋さんに売るそうです。そこで数日使われたあとに豚カツ屋さんに売られます。こうした2次利用のマーケットがあるので、高級天ぷら屋さんは常に最高級の油を最良の状態だけで使える訳です。
このようなピラミッド構造は高品質の実現とその維持に有効です。アメリカの株式市場はニューヨーク証取を頂点に、ナスダック、各地の地方取引所、ピンクシート等々、実に35万社程の株式がパブリック、もしくはセミ・パブリックに取り引きされており、下層では数万単位に上る会社が毎年入れ替わっているそうです。日本のマーケットも徐々にこのように奥行きを深めて行きたいですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。