雇用統計発表がFOMCに間に合わないかはまだ分からない

過去、2013年にもシャットダウンにより雇用統計発表が延期されたことがあった。ただし、この時のシャットダウンが半月程度で終わると、それから数日後に雇用統計は発表された。これによって、シャットダウンで雇用統計発表が延期となった場合でも、そのまま翌月の発表まで先送りされるわけではないということが分かった。雇用統計は、原則として毎月第1金曜日に発表されるが、シャットダウンで延期となった場合は、この原則に縛られるのではなく、シャットダウン終了から間もなく発表される可能性が高いだろう。

これを今回に当てはめると、シャットダウンにより、10月3日の9月雇用統計発表は延期となった。これが原則通り、毎月第1金曜日の雇用統計発表スケジュール通りになるなら、9月雇用統計は11月7日の発表になるため、10月29日のFOMC(米連邦公開市場委員会)の後になってしまう。つまり、FOMCは9月雇用統計の結果を未確認のまま2回連続利下げの有無を判断することになるかもしれない。

ただし、もしもシャットダウンが10月20日頃までに終わった場合、その数日後に9月雇用統計が発表される可能性が出てくる。そうなると、9月雇用統計の結果を確認した上で10月29日発表のFOMCの政策決定が行われるかもしれない。

11月7日の雇用統計発表も延期の可能性=影響は玉突き式

シャットダウンが1ヶ月以上に長期化しなければ、少なくとも2回連続利下げ判断が注目される10月末のFOMCへの影響は限られそうだ。それなら、とりあえずはシャットダウンの早い終了を期待すれば良いかと言えば、それだけでは済まないようだ。

2013年のシャットダウンで雇用統計発表が延期されたケースでは、半月程度でシャットダウンが終わると、間もなく延期されていた雇用統計が発表された。ただし、シャットダウンを受けた集計作業の遅れもあり、次の雇用統計発表も原則通りの第1金曜日には間に合わなかった。

これを今回のケースに当てはめると、シャットダウンにより延期された10月3日の予定だった9月雇用統計の発表は、仮にシャットダウンが10月20日頃までに終了した場合、10月22日頃に発表される可能性がある。しかし、10月雇用統計が原則通りに11月7日に発表され、雇用統計の発表スケジュールが正常化するかは不明だろう。

トランプ政権で加速する米経済指標への信頼度低下

以上のことから、シャットダウンの影響による米経済指標発表スケジュールの混乱は、シャットダウンの期間次第ではあるが1ヶ月以上に長引きそうである。もっとも、雇用統計の責任者がトランプ大統領から解任されたことで、米経済指標への信頼度はすでに低下が始まったと言えそうだ。今回のシャットダウンによる発表スケジュールの混乱も、そうした米経済指標への信頼度の低下をさらに加速させる一因になるのかもしれない。