今日の東京は明らかに冬が近づいていると知らされる重い曇天でした。「秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどれかれぬる」というのは藤原敏行の歌ですが、以前にも書いたことがあるように、古今集の中には微妙な匂いや音で季節の変化をいち早く知ったり、ある人を思い出したりする歌がよくあります。新しく生まれるものから発せられる匂いによって春を感じ、どこか侘びしい風の音によって秋の到来を知る。
このような感性はデジタル映像や信号が反乱する現代に於いては徐々に廃れて行くのでしょうか。今日のように明らかな状況で冬を感じる、しかも秋をしっかりと認識する間もなく・・。
鈍感になるとどんどん鈍感になってしまう一方のような気がするので、もっと意識的に匂いや音を探したいと思います。