本日の日経新聞のトップ記事によると、大蔵省が国の貸借対照表の試算を行い、最大で780兆円の債務超過があることが明らかになったということです。国が支払いを約束している公的年金の給付額を、加入者が今までに支払った積立額だけとすると債務超過額は130兆円、約束した通りの給付額とすると780兆円になるとのことです。その差は650兆円。計算の仕方によって変わるバランスシートのボトムラインとしては聞いたことのない巨大な額です。ところでこの2つの計算方法の違いは、まさに確定拠出型年金(日本版401Kなど)と確定給付型年金(今までの年金)の違いに等しいものです。650兆円の責任の所在を明らかにしないまま、それどころか650兆円の差の存在自体を明らかにしないまま、日本版401Kの導入の議論を進めてきた各関係者の責任は重大ですよね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。