オンライン証券会社は郵便局に替わる次世代の国民的金融インフラになるべきだと考えています。今後何回かに分けてこの件に付き私の考えを説明して行きたいと思います。
まず第一は店舗数です。郵便局が日本最大の金融機関たる大きな理由の一つは、他の金融機関に比べて店舗数が圧倒的に多いことです。ところでオンライン証券にとってはインターネット端末がいわば窓口になる訳ですが、インターネット・ユーザーは少なく見積もっても既に2000万人います。
4、5年後には6000万人ぐらいになるでしょう。(政府の予想では2005年に7700万人です。)インターネットを使う人口はティーン・エイジャーから7,80歳まで、即ち消費可能人口帯と思われますが、6000万人というとその人口のほぼ全員です。即ち近い将来、消費をする人口のほぼ全員の前にオンライン証券の窓口ができる訳です。
一方その時、郵便局の店舗数は今とさほど変わらないでしょう。これが我々が郵便局にとって替わり得る最初の理由です。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。